さて前回からの続きですが、よく巷で「霊」「幽霊」とか言われていますが、この正体は「餓鬼」です。餓鬼が幽霊、霊と言われている存在になります。そして、リアルに存在しています。波動が違いますので、通常の人間の目には移りませんが、意外と身近に多く存在しているようです。
餓鬼は、一つの生命形態です。前世において、強い執着、後悔、怨念を残した場合、餓鬼へ転生するようです。自殺して悔恨の念を持った方も餓鬼になる場合があるようです。
餓鬼は、大変不安定な心を持ち、常に穏やかではありません。イライラ、不安、悲しみ、愚痴、落ち着きが無い、そういったネガティブなメンタリティになっているのが特徴で不安定な精神をしています。
餓鬼は、前世のことを覚えていますので、何故、自分が餓鬼になったのか理解しているといいます。それもあって、いつも後悔の念に捕らわれて、悲しい・悔しい・無念といった気持ちのまま、決して明るい気持ちになることはないといいます。寿命も長く数百年から1000年くらい生き続けるようです。
姿形は奇異で、異様な姿態をしています。ですが、動物や人間に似た姿など多種多彩のようです。稀に人間が見たりすると、その異様な姿にびっくりするわけです。
姿形は、人間以上に個性的で、同じ姿をした餓鬼は存在しないとまで言われています。大きさも小さいものから、大きなものまで、手足の長さも胴体の作りも様々です。
餓鬼は、様々な名称で呼ばれています。幽霊、浮遊霊、不成仏霊、魑魅魍魎、動物霊など様々な呼ばれ方をしています。全てリアルに存在し、人間の身近に多く存在しています。特に暗いところや人気の無い所を好んでいるようです。
人間も生前、恨み、嫉妬、欲求不満、イライラ、落ち着きが無いといったネガティブな感情や考え方が多く、占められていると、死後、餓鬼に転生する可能性が高くなるといいます。
餓鬼に転生すると長期間、苦悩の心に固定され、業が尽きるまで餓鬼のままになります。業が尽きると、再び別の生命に転生していきます。
餓鬼は、地獄・動物と並んで、三悪趣(さんあくしゅ)という悪処になります。お釈迦さまも「悪趣には転生しないように」と忠告もされています。ですからできるだけ偏りが無く、穏やかで安定し、慈愛に満ちた生活で日々過ごしたいものです。
霊障の本当の話し
よく「霊障」と言いますが、実は霊障は餓鬼が関与してきた稀なケースになります。何か浮かばれていない、得たいのしれない物の怪が取り憑く、というオカルトではなく、リアルな餓鬼という生命が関与する特殊なケースになります。
餓鬼は稀に人間に関わってくることがあるようです。餓鬼は、人間のネガティブな感情が大好きで、人間がイライラしたり、怒ったり、嫉妬したり、恨んだり、落ち着きがない姿を見ると、それをエネルギーとして、餓鬼の生命力を高めていくようです。そうして、そういった人間に近づいて、取り憑いたようになるようです。
こういったことはそれほど多く起きることはないようですが、このような現象が「霊障」になります。祟り話や怨霊は、苦悩に満ちた餓鬼が、生前、自分をとがめた者への復讐にもなります。
しかし餓鬼に対して回向(えこう)をしてあげたり、謝罪したり、人間の気持ちを陽気にしたり、慰めたりすることで離れていくようです。
気持ちをいつも前向きで明るく、朗らかな生活をしていれば、餓鬼が近づくことはないようです。餓鬼は身近の至る所にいるようですが、ネガティブな感情を出すことがなければ別に悪さをすることはないようです。
餓鬼といえども、一つの生命です。動物は目に見えますが、餓鬼は目に見えないだけであっても生命です。人間は動物は大切にしてペットにもしますが、餓鬼が異様な姿だからといって邪険にすることなく、可哀相だなという慈しみの心を向けて、餓鬼の幸せを願ってあげることが大事なようです。
そうして、餓鬼に対するこの心が、「回向」のルーツであり、またお盆での供養のルーツでもあります。
回向とは餓鬼の転生を願う人間の心遣い
死後、浮かばれていない先祖というのは、実は餓鬼に墜ちた方々で、その方々へ心を込めて回向差し上げれば、中には餓鬼から別の生命へ転生していくことがあるようです。これが49日の話しの元にもなっています。
回向やお盆の話しは、実は後世に整理されたパーリ仏典「餓鬼事」経に載っています。決して迷信ではなく、また幽霊のように忌み嫌ったりするのではなく、一つの生命として、その存在へ慈しみの心を向けてあげることが大事といいます。
お盆の季節になりますと、年中行事として先祖供養もさかんになりますが、一年に一度は、餓鬼さん達の幸せを願い、別の生命への転生(いわゆる成仏)を願って差し上げることも善行になるでしょう。
決して迷信ではありませんので、見えなくても、そのようにしてあげるとよろしいかと思います。
餓鬼や回向、お盆のことは下記の本にも詳しく載っています。興味のあります方はお読みになってください。